MIとは・・・


MIとは、minimal interventionの略語であり、「必要最小限の侵襲」を意味します。
従来、詰め物をするとき虫歯リスクの高い所を含め切削した予防拡大や金属修復等の歯質切削中心の歯科治療から、不可逆的な病巣の最小限の除去、可逆的な病巣の治癒を目指すものです。
これはすなわち、患者さんへの侵襲を最小限にし、歯質の保護を基本とした治療を行う概念です。

2000年にFDIにより提唱されたMI Dentistry
原文は

1.初期ウ蝕の再石灰化処置
2.脱灰進行と齲窩形成のリスク除去を目的としたウ蝕原因菌の削減処置
3.齲窩形成のあるウ蝕に対する必要最小限の切削処置
4.再修復でない修理的修復処置
5.初発ならびに再発の予防処置

MI Dentistryでは虫歯をプロセスとして把握し、その各々のプロセスにおいて適切なコンセプトに基づいた処置を行うことを示しています。

それは虫歯は感染症ですから、最も重要なことはすなわちプラークを除去し、糖分の摂取を制限することがまず必要となります。

患者さんには虫歯の成り立ちを説明し、同時に食事指導と口腔清掃指導を通して予防の方法を説明していきます。

 

そしてその処置は、エナメル質および象牙質の虫歯でまだ穴の空いていない場合は,まずは再石灰化療法を行って経過を観察していきます。唾液は脱灰と再石灰化のサイクルにおいて重大な役割を担っているので、その量および質について十分に評価しなければ      なりません。エナメル質のホワイトスポットや象牙質に穴が空いていない虫歯は、その進行と停止させたり、治癒させてりすることができます。

不幸にして虫歯で穴が空いてしまい、その進行を停止させることができない様な穴がある場合や、噛み合わせの状態が悪いなど機能的あるいは歯の形、色など審美的な要求がある場合に限り、”歯質を削る”ということを最小の侵襲として行います。その際、極力天然歯質を保存し、削るのは割れそうなエナメル質とう蝕顕示液を使用し感染した象牙質のみにします。虫歯を削った穴の大きさを最小限にすることによって、コンポジットレジンなどの接着性材料で修復することを可能にしています。

また、修復物のある歯の治療をする際も既存の修復物を除去して再修復すると、結果的に健全歯質も削らないといけないことになります。それにより修復する穴のサイズが    大きくなることは避けられません。状況によっては,修復物全体を再修復する代わりに虫歯の箇所のみを補修をするのもひとつの方法です。

以前の虫歯治療は修復物が外れるのを防止するため、修復後の虫歯予防のために健全歯質を多量に削らないといけませんでした、しかし現在では歯質接着性材料の普及により、MI治療が可能となりました。