「もしかして、酸蝕歯症?」酸が歯を溶かすって知っていた
酸蝕症はむし歯以外の原因で歯が削れていく疾患でむし歯、歯周病に次いで第3の歯科疾患と言われ、健康ブームのため黒酢や炭酸水を飲むことが多くなりトラブルが増えています。
酸性の食べ物や飲み物が口に入ってきて繰り返し歯と接触することで歯が溶け始める現象を「歯の酸蝕」と呼びます。
酸蝕によって病的に溶けてしまった歯を酸蝕歯と呼んでいます酸に繰り返し触れると歯はどのようになるのでしょう。
左の写真のように初期のうちは歯の先が透明になり始めていきます。
続いて酸蝕症が進行すると上の写真のように一段と透明度が進んだり、歯の表面が凹んだりしてきます。
ではどれくらいの人が、酸蝕症になっているのでしょう?
グラフの赤がエナメル質段階の酸蝕歯、青が象牙質にまで及んだ酸蝕歯の割合です。年齢が増加すれば、象牙質まで進んだ酸蝕が増えていきますが、その割合は合計で約25%ぐらいになります。実に全世代の4人に1人が酸蝕症に罹患しています。
特に10代から20代は30.9%の人にトラブルが発生しています。
酸蝕歯はむし歯とどう違うのでしょうか?
むし歯はむし歯菌が出す酸で歯が溶けますが、酸蝕歯は食べ物や飲み物に含まれる酸で歯が溶けます。すなわち、むし歯のないきれいなお口の中でも歯は溶けるので、注意が必要です。
さらにむし歯は汚れのたまりやすい場所から歯が溶けていきますので、噛み合わせの面、歯の溝、歯のあいだなどできる範囲は限られています。 しかし酸蝕歯は食べ物や飲み物が、お口全体に行き渡りますから、むし歯の出来にくい、歯の表面など広範囲に被害が拡大します。
酸性度について知りましょう。
柑橘系の果物は酸っぱいのでpHが低いのはわかります。
例えばレモンで2.1、グレープフルーツで3.2,オレンジで3.5とかなり低いです。
では飲み物のpHはどれくらいでしょうか?
コーラが2.2,ポカリスウェットが3.5,炭酸水が4.8,微糖の紅茶が5.5、緑茶が6.2,水が7.0です。
ここで大事なのはpH5.5という数字です。pH5.5は歯の表面のエナメル質が溶け始める値にです。pH5.5以下の飲み物は酸蝕症の原因となるので注意しないといけません。
飲み方によって差があるか見てみましょう。
pH3.2のコカコーラライトを3種類の飲み方をし、口の中のpHを測ってみました。
1、2分間口の中にためてから飲む、ためている間pHが4近くまで下がりました。
2、5分おきくらいに3回に分けて一気に飲む、これはpHの低下は6程度にとどまりました。
3、15分かけてチビチビと飲む、pHの低下は5程度でちびちび飲んでいる間続きました。
この3種類の飲み方を比較したところ、あきらかに口の中にコーラをためてから飲むのみ方がpHの低下が最も著しく、続いて、長い時間かけてちびちび飲む飲み方でした。pHの低下が最も少なかったのは、コーラを一気に飲んでしまう方法でした。
このことからも飲み方によっても歯へのダメージが、違うことがわかりました。
コーラ・オレンジジュースなどのソフトドリンク、黒酢やリンゴ酢などのお酢系飲みもの、スポーツドリンク、栄養ドリンクを毎日のようにちびちび飲んだりすることが、酸蝕症の原因となります。
他に前歯で柑橘系などの果物をかじったり、酢の物などを前歯ですすったりする食べ方が毎日続くなどの習慣が原因であることも多くなります。